94. ウール・リネンの混紡糸のジャケット
2022年06月06日
今回はウール・リネンの生地を使ったジャケットを紹介させて頂きます。
ウール・リネンの生地が作れる方法には、交織と呼ばれる経糸がリネン、緯糸がウールで作られる方法。(逆の場合もあります)
滅多にないですが、交撚と呼ばれるウールとリネンの2本の糸を撚糸して作られる方法。
そして今回がウールの原毛とリネンの原毛を混ぜて、1本の糸にする混紡という方法で作られた糸になります。
上の写真を見ると、所々に白っぽい線が入っているのが分かるかと思います。この白っぽい線がリネンの部分になります。
ウールとリネンでは主成分が違うので染色の方法が違ってきます。ウールを染める染料では、リネンは染まりません。
この原理を利用して作られた生地が今回の生地になります。
ウールをブルー系に染めて、リネンはウールの染料では染まらないため白っぽい線みたいに出ています。
この生地にはもうひと工夫されており、ブルー系のウール・リネンの混紡糸と濃紺系のウールの糸を撚糸して双糸しています。
上の写真を見ると、ブルー系の中に黒っぽい色が入っているのがわかるかと思います。2色の糸を使うことにより無地でも、なんとも言えない深みが出ます。
リネンの擦れ具合に加えて、2色の糸を使うことによって出ている色のバランスが本当に絶妙だと感じます。リネンの比率が多くなると白っぽさが増して、いやらしくなりますし、濃紺の色を入れることで、生地に深みを与えてくれます。
そして経糸・緯糸共に双糸で作られているので、強度の面もバッチリです。今回はジャケットでしたが、スーツやセットアップとしても使える生地になります。
見た目は無地ですが、素材の特徴を理解して作られている生地は本当に素晴らしいと思います。本当に生地の世界は奥が深いと、改めて感じさせてくれた生地でした!!