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糸から生地、生地から服ができるまで
① 生地設計
一番最初に行うのが、どのような糸(素材)を使うか、色柄、一つの生地に糸を何本使うか、風合いはどうするか、組織はどうするかを考えます。ここでどのような生地、服にしたいかをイメージして企画します。一枚の生地がこんなに複雑な計算をしてできているのかと始めた当初は大変苦労した工程でもあります。この一枚の設計書に風合い以外の全ての生地情報が入っています。
② 染色
・かせ染め
・P.P染め
染色の方法はいくつかあります。
・まだ糸になる前のワタの状態で染めた後に糸にするトップ染め → 生地になる前に染める
・糸になった状態から染める糸染め → 生地になる前に染める
・生地になってから染める後染め(反染め)→ 生地になった後に染める
・製品になってから染める製品染め → 生地になった後に染める
弊社の9割は上記二つのトップ染め、糸染めになります。トップ・糸染めは生地になる前の染色方法ですのでタテ糸、ヨコ糸で色を変える事が可能で無地でも深みがある生地に仕上がります。
・かせ染め…束の状態で染め上げるため、染めムラが少なく、糸にかかるストレスが少ないため、より本来の糸の状態で染める事ができる。弊社オリジナル生地のリネンはかせ染めをしております。
・P.P染め…かせ染めに比べて、大量に染める事が出来る。スーツ生地のウールはほとんどがP.P染めになります。
③ 整経
・枠立て
・整経機
・綜絖差し・オサ入れ
織物は必ずタテ糸とヨコ糸が交わることで生地となります。この整経でタテ糸の準備をしていきます。企画によって変わりますが、何千本の糸を準備をするので、大変な時間がかかります。糸(素材)によって伸縮が変わるので非常に神経を使う工程です。
・枠立てこの枠立てで、柄が決まります。写真は全て黒の糸が並んでいますが、ストライプの場合は何本かおきに違う色の糸が立てられます。チェックもタテ糸だけ見れば、ストライプになるので同じ事が言えます。
・整経機…先程の枠立ての糸から整経機に巻き取られていきます。ここでの糸にかけるテンションが非常に重要になってきます。伸びないリネンは張った状態で硬く巻き上げ、ウールは伸びるのでテンションをかけ過ぎずに巻き上げます。
・綜絖とオサ入れ…整経と製織の間で大事な工程で綜絖差しがあります。これは組織に影響するものです。何千本の糸を5mmくらいの穴に通していきます。尾州の工場はこれを手作業でやっています。
オサ入れはタテ糸の密度を決めることとヨコ糸を打ち込む時に必要な道具になります。3枚目オサ入れの写真になります。これも全て手作業で入れていきます。
④ 製織
ここで織機を使って織っていきます。整経で準備したタテ糸をに織機でヨコ糸打ち込んでいきます。織機にも色々な種類がありまして、N tailor designのオリジナル生地はションヘル、レピア織機で織っております。ションヘルは織るスピードが遅く一日で数10mしか織れない生地もあります。スピードは遅いですが手織りに近い膨らみのある生地ができると言われてます。レピア織機はションヘルに比べてスピードが早く、生産性に向いた織機と言えます。色糸を他の織機に比べて多く使えるのも特徴の一つです。ここの製織工程で、タテ糸とヨコ糸が何回も交錯しあうことで生地になっていきます。
※ 写真はションヘル織機になります。
⑤ 整理
・洗絨
・ワッシャー
織り上がった生地の仕上げをする工程です。織り上がった生地が化粧前で、整理で化粧するようなイメージです。同じ生地でも整理の工程を変えるだけで出来上がりの生地は全く違ったものになります。生地の仕事について一番衝撃を受けた工程でもあります。一番生地の風合いや見た目を左右すると言っても良いくらい大事な工程です。
・洗絨…織り上がった生地を洗って不純物を取り除く工程。ここでも多少風合いがでます。
・ワッシャー…お湯の中に入れ込んで揉み込みます。ウールですと大きく縮み膨らみのある生地になります。(スーツの生地はこの工程はやらないです。)オリジナル生地ではリネンが入った生地はほぼこの工程が通ります。一度生地の状態で洗い混むことで、家庭で洗ってもシワの出方が柔らかく出るのが特徴です。
⑥ 生地仕上
・綿60% 麻40%
・ウール100%
・上の写真は綿60% 麻40%の仕上がり生地になります。整理でワッシャー加工をしています。その後少しプレスして仕上がりのシワを緩和しています。セットアップ・パンツ・コートなど幅広いアイテムに使用できる生地になります。
・下の写真はウール100%のスーツ生地になります。ウールの中でも特別に良い原料を使用しており、濃紺の無地ですが、ツヤの出方素晴らしい生地になります。スーツ地はカジュアルの生地と違って、生地の表面を焼く毛焼きという工程が有ります。毛羽を焼くことでより綺麗な生地に仕上がります。
糸から生地ができるまでに、様々な工程が有り、その工程を繋ぐことで生地が仕上がります。この他にも仕上がり後の生地に傷や汚れがあった場合に、全く何もなかった様に直してくれる補修屋さんの存在も欠かせません。
糸から生地への工程を知ることで、その生地の特徴を理解し、最大限に生かす仕立てを心掛けております。
⑦ 裁断・縫製
N tailor designはIACDE(国際衣服デザイナー・エグゼクティブ協会)において、紳士服のオーダー工場として、最高評価の「三つ星工場」に認定された工場で裁断・縫製をしております。全ての商品国内縫製になります。採寸時にお客様一人一人に合わせた体型補正も行っております。基本の寸法が一番の重要ポイントですが、そこだけでは補えないお客様一人一人のクセや体型を把握し、綺麗な形かつ機能性を持たせたスーツを仕立てさせて頂きます。