89. 尾州の機屋さんの日常の風景
2022年05月20日
今回も前回に引き続き機屋さんの風景をお話しさせて頂きます。写真はタテ糸で使われる糸になります。ネイビー・パープル・マスタードの色の糸が並んでいるのがわかるかと思います。この3色を使ってタテ糸を整経していきます。
写真を見ると、ネイビーが一番多く、パープルとマスタードが同じ本数あります。(パープル、ネイビーは見にくく申し訳ございません。)
この写真を見ただけで、どんな柄ができるかイメージできた方は天才です。すぐにテキスタイルの仕事をして頂いた方が良いかもしれません。笑
これは枠立てと呼ばれ、経糸の柄を決める大事な工程になります。ネイビーがベースの生地でパープルとマスタードがストライプで入るイメージです。
自分が整経をやり始めた時に、最初にこの枠立てを勉強しました。まず一番最初に感じたことが、生地は一本一本の糸で出来ているということです。服を見る限り、糸でできているということが中々想像できないと思います。
ストライプやチェックの生地も一本一本の糸で柄が出ているのです。なのでこの枠立てで、糸の配置を間違えてしまうと、大事故です。その生地は売れなくなってしまい、再度やり直しになります。
なので、これでもかというくらい糸の配置を確認します。
何百本の糸が集結することで整経ができます。生地全部のタテ糸は何千本になるので、何百本の糸を繰り返し整経することで、何千本の糸を作る事ができます。これは話だけでは理解することが、難しいと思うので、整経についてご興味がある方はコンタクトフォームよりお問い合わせ下さいませ。
今回で一番伝えたいことは、一本一本の糸で生地が出来上がるということです。点が面になり、立体になる。これは糸が生地になり、服になると同じようなことだと思います。
そしてもっと私が感動することは、紀元前から織物が作られ服に使われていたのです。機械は進化していますが、服を作る原理は大昔も今も大きくは変わっていないということなのです。誰が一番最初に織物を作ったのか、その人なのか人達なのかはわかりませんが、とんでもない発明をしたものです。
だからこんな深い生地の仕事はやめられません!!