88. 尾州の機場の風景
2022年05月16日
今回は尾州の機場の風景ををご紹介したいと思います。機場では秋冬物が最盛期を迎えており、コート生地などのウールを素材が多く織られています。
上の写真は生地を作る上で欠かせない工程でもある筬差しの風景になります。この筬は生地を織る上で非常に重要で、タテ糸の密度・ヨコ糸を打ち込むという2つの役割があります。
写真のように何千本もあるタテ糸を、だいたい2から4本ずつ隙間に入れていきます。それも手作業で。。。
本当に気の遠くなる作業です。
上の写真が筬をアップにしたもので、隙間の間隔がタテ糸の密度を決めます。隙間が大きいものもあれば、隙間が小さいものもあります。この筬の一目を抜かして糸を入れてしまうと、生地に隙間ができてしまいまい、事故反になってしまいます。(補修で直すことができます)それだけ重要な作業になってきます。
この気の遠くなる作業を正確かつ早く筬を差していきます。本当に熟練の技だなと思います。私自身も何回かこの筬差しをやったことがありますが、同じ人間がこんなに早く、正確にできるものなのかと思いました。いくら何十年やっても、ここまでできるのかと感嘆したのを覚えています。
尾州で働くようになって、生地を作るのがここまで、大変な作業なのかと思いました。尾州で織ったオリジナル生地は他の生地とは思い入れが違います。染色・織り・整理・撚糸をしてくれている方々を知っていて、生地を作る苦労も多少なりとも理解できるので、オリジナル生地を作ることができるのは本当に有難いことだとつくづく思います。
これからも尾州の生地の良さを少しでも体感して頂けるように、生地を織る日常を発信していければと思います!!