77. 尾州(一宮)で学んだ生地の分解を活かして
2022年04月08日
今回は新シーズンに入ると、新しい生地見本が入荷されます。春夏と秋冬の2回生地の入れ替えがあります。新しい生地が入荷された時、気になる生地だけ分解してどのような生地なのか把握するようにしています。全部やっていたら身が持たないので、ほんの一部分だけになりますが。
写真では組織図と撚り方向、密度を分解して把握しております。新しい生地を切ってしまうと大変なので、写真の様に組織、密度までは測りませんが、撚り方向と単糸・双糸は把握するようにしています。ブログでも何回も出ていますが、単糸・双糸は私自身にとって凄く生地をしる上で大事なことなので、ここは間違いなく把握しておきたい事項になります。繰り返しにはなってしまいますが、双糸の方がメリットが多いので、個人的にはよっぽどのことがない限りタテヨコ双糸の生地をオススメさせて頂いております。
上記の写真で見るように、生地から一本一本の糸を抜いていき、その一本の撚り方向、単糸・双糸を把握していきます。ここで生地というのは一本一本の糸が何千本、何万本も使われて生地になっていることが分かります。
上記の写真の一番下の生地がスーツ生地でよく見られるバーズアイの組織になります。何かテトリス見たいな組織図になっています。これもよく見かける千鳥格子の組織は意外にも2/2の綾でできています。本当に組織を考えた人は凄いなとつくづく思います。
こうやって生地を分解することにより、生地の特性を理解し、その生地が一番活かさせる方法を考えることが大事ではないかと考えております。密度が甘いから、悪い生地なのではなく、その生地をどのような服に仕立てるかによって全くカッコ良さが変わっていきます。スーツのようなフォーマルな服だけではなく、普段着用できる服もオーダーが可能です。カジュアルの生地はスーツ地に比べて、種類が多くより生地の特性を理解することが大切になってきます。そこをしっかり考えた上で物作りをし、カジュアルは凄くリラックスな雰囲気で、スーツしっかり着こなし、ギャップを作れる服を仕立てていければ良いなと思っております。