76. スーツ生地の主な組織のご紹介
2022年04月04日
今回はスーツ生地に多い組織をご紹介させて頂きます。スーツの生地はカジュアルの生地に比べて、組織の種類は少なく、基本的に平織と綾織と呼ばれる組織がほとんどになります。ざっくりいうと平織が春夏物で、綾織が秋冬物の組織になります。実物の生地と組織図を見ながら説明していきたいと思います。
上の写真が平織の生地になります。組織図を見ると黒白が交互に描かれています。これが平織の組織図になります。特徴としては色々な組織の中で少ない糸の本数で一番強度を保てる組織になります。なので春夏には最適な組織になります。少ない本数で強度が保たれるということは、軽い生地に仕上げることができるということです。なので、平織と綾織とでは暑い夏にスラックスを履かれていても、全然着心地が変わっていきます。最近ではオールシーズン着用できますよとうたっている生地を見かけますが、その殆どが、綾織になっているので、暑い夏にはあまり向いていないと思います。一見オールシーズンのスーツはコストパフォーマンスが高そうですが、スーツを毎日着用する人にとっては、春夏・秋冬と分けられた方が、一着のスーツ自体は長持ちすると思います。なので夏の時期はスラックス・スーツ・シャツをお仕立てするのでしたら、平織の生地が断然オススメです。
次に綾織についてお話しさせて頂きます。綾織の特徴としては、写真を見ると斜めに線みたいなものが入っているのがポイントです。平織の組織図に比べて、黒・白が連続で塗りつぶされています。これが肌触りがよく、光沢が出る要因になります。なので秋冬に使われる生地の方が、高級感が出やすいのは組織が凄く関係しているということです。
綾織は写真以外にも色々な種類の組織がありますが、一番代表的な2/2の綾をご紹介させて頂きました。個人的には、綾織の中で2/2の綾が一番バランスが良い組織で、お仕立て後も長く着用できると考えています。仕立て上がりは良いのですが、長く着ていくとやはりバランスが良い組織の方が、いい状態で着用し続けれるなと経験上感じます。なので無地でしたら基本的には2/2の綾の生地か平織を生地をオススメさせていただいております。
今回は前回に引き続き生地の規格についてお話しさせて頂きました。生地によって仕立ても変わりますし、服の寿命も変わってきます。なので、生地を自分で決められるオーダーは素晴らしいと思います。何か洋服でお困りごとや疑問なことがございましたらお気軽にお問い合わせくださいませ。