67. 春夏のスーツ生地オススメ(英国生地)
2022年03月04日
3月に入り徐々に暖かく感じてきました。今回は春夏のオススメのスーツ生地をご紹介させて頂きます。まず大前提に当たり前ですが春夏は秋冬の生地に比べて薄いです。なので生地の組織が平織と呼ばれるものが多いです。それがどおしたと思われるかもしれませんが、凄く大切なことで、同じ原料を使ってもスーツにとって大切なツヤ感が秋冬の生地に比べて出にくいのです。このことを理解することで仕上がりのイメージが少し湧き易いかと思います。
今回ご紹介させて頂く生地ブランドはWain Shiellと呼ばれる英国生地のブランドです。派手さはありませんが、規格がしっかりとしているので大好きな生地ブランドです。密度がしっかりしているのでハリがあり、すべての生地がタテ糸・ヨコ糸は双糸になります。特に春夏は消耗が激しいので暑い季節スーツを着用する方には外せない条件になります。それに加えて、糸の撚り回数を通常よりも増やすことで、シワの回復力が向上し、且つ毛羽を抑えられ、清涼感が出るので春夏には持ってこいの生地になります。
まず一つ目にご紹介させて頂く生地は明るい紺のピンストライプの生地です。タテ糸がブルーの糸、ヨコ糸が濃紺の糸で織られています。春夏の平織の生地はツヤが出にくいとお話しさせて頂きました。なので、シャンブレーと呼ばれるタテ糸とヨコ糸の色が違うことで、角度によって2色がチラつきツヤ感があるように感じます。平織のタテヨコ同色ですとよっぽど良い原料を使用しないと、良いツヤ感がでないので、春夏はシャンブレーの生地を心の奥底からオススメしたいです!!
次にオススメは全く同じ柄で色が紺の生地です。この生地は画像ではわかりにくいですが、タテ糸が紺色の糸、ヨコ糸が濃紺の糸を使ったシャンブレーの生地になります。この微妙な色差のシャンブレーですが、仕上がるとタテヨコ同色の生地に比べると色のチラつきが出るので良い雰囲気になります。先程より派手さがないので、落ち着いた感じで着用されたい方にはオススメです。
最後にタテ糸にグレーの糸、ヨコ糸にブルーの糸を使ったシャンブレーの生地をご紹介させて頂きます。タテ糸のグレーの糸はトップ糸を使っているため霜がかったようなぼやけた感じになります。これもシャンブレーなのですが、他の生地と違う所が糸の撚り(ひねり)にあります。糸は必ず撚りがかかっています。撚りには右回りで撚る、左回りで撚る二つのパターンがあります。この二つのパターンを使うことでストライプを出しているのです。ちなみに撚りの方向が違うだけで、光によって糸の色は同じなのにストライプが出るのです。これは生地の規格を学び始めの時は衝撃を受けました!!色が一緒なのになんでストライプの柄が出るんだと。これもスーツが動く時に凄くストライプが出る時と無地っぽくなる時があるので、色々な表情をしてくれるので少し光沢がある生地のような雰囲気に仕立て上がります。
ご紹介した生地はそこまで派手さはなくオーソドックスな生地ですが、少し生地の規格に工夫が入ることで、仕上がりの印象をグンと上げてくれます。なので生地を見るだけではなく、触って動かすことでどのような見え方をするのか試して頂きたいです。見ただけではいまいちの生地でも動かすことで、印象が変わることがあります。
春夏の生地も徐々に揃ってきましたので、またオススメの生地が入りましたらまたご紹介させて頂きます!