64. 22-23年秋冬の尾州産オリジナル生地規格決定
2022年02月21日
今回は毎シーズン作成しております、N tailor designのオリジナル生地の規格が決まりましたので、お話しさせて頂きます。オーダースーツ屋がオリジナル生地は作成しようとしても、中々作成することは難しいと思います。オーダーの場合既製品と違い、お客様の分だけ生地を注文していくスタイルになります。なので、一つの生地の注文数は圧倒的に既製品に比べて少なく、少量すぎて生地を織ることができません。(織ることができてもとんでもなく高額になってしまいます)私は尾州で生地の仕事に携わったこともあり、少量でも生産できることが可能になりました。この環境を作ってくれた周りの方々に本当に感謝です。
自分自身尾州の地で働き始めた理由に、自分で生地の規格ができるようになって、その生地を服にしたいと思いがありこの尾州で生地の勉強を始めました。このオリジナル生地は私自身が糸・生地の色・生地の規格・密度・整理を考えて尾州の職人の方々と連携して作っています。愛情は他の生地よりもめちゃくちゃあります!!
一本の糸から服になることは服だけ見てしまうと中々感じないことだと思いますが、本当に一本の糸が交錯しあって服になっているのです。今でも何か不思議な感じがします。このオリジナル生地で仕立てることは、他の生地で仕立てるよりも8倍くらい嬉しい気持ちになります!!
話は戻りますが、今回は次の秋冬に向けての生地の規格をしました。上記の写真の糸が今回使う糸になります。白い糸の方が綿糸で、ベージュの方がウールになります。これを二重織りにすることで、表面がウール、裏面が綿の生地が出来上がります。
イメージは前回ブログにも書きました両面起毛の生地になります。凄く肌触りが良く、とにかく暖かいパンツで私自身がこの冬一番重宝したアイテムになります。これをコートとパンツのセットアップにしたいと思いオリジナル生地製作に至りました。
この生地のポイントは肌触りを良くしたいとの思いがあり、そのためにどのような工夫がこの生地規格に入れられているかお話ししていきたいと思います。まずウールの原料が16.5マイクロンの原毛を使っておりカシミヤに近い原料を使用しております。次に組織をヨコ二重と呼ばれる二重織りにし、起毛の肌触りが通常の二重織りより良くなります。これは凄く細かくなるのですが、起毛はヨコ糸が非常に重要になってきます。組織のヨコ浮きが多いほどきれいに起毛が出るのです。ヨコ二重と呼ばれる組織は、ヨコ糸で8割以上できているような生地になるので、起毛に一番適した組織だと言っても過言ではありません。
肌触りは抜群な生地になりますので、仕上がりましたらぜひ一度触れて頂いて欲しい生地になります。これから織って、整理して仕上げていきますので、その工程もブログで書いていければと思っております。5月ごろ仕上がり予定ですが、私自身仕上がりが楽しみで仕方がありません!!