59. 一宮で作る麻生地ができるまで〜染め編〜
2022年02月04日
今回は麻の生地ができるまでの流れを説明していきたいと思います。尾州はウールの産地として有名だと思いますが、綿や麻素材も取り扱っております。しかし麻は織れる機屋さんが少ないため麻100%の生地は尾州ではかなり少ないかと思います。
N tailor designのオリジナル生地は麻100%の生地も取り扱っております。以前もブログに書かさせて頂きましたが、凄腕の職人さんに織って頂いています。
今回は織ることではなく麻の染色についてお話しさせて頂きます。この染色が織りやすさに凄く影響します。染色は色をつけるだけではなく、ノリ付けと呼ばれる工程があり、麻の毛羽を押さえたり、強度を保ったりする役目があります。デニムでよくノリがついたままで製品になっていることがあります。生デニムです。これは糸が単糸でノリを付けないと織ることができないためです。双糸でしたら綿でしたらノリなしでも織れます。
リネンはノリ付けが必須で、ノリ付けなしでは全く織れません。そのためかせ染めがノリの付きがよく、麻素材のオリジナル生地は全てかせ染めをしています。
このノリ付けが上手くいかないと、どんなに良い機屋さんでも全く織れなくなります。この二つの力が合わさってこそ良い麻の生地が織れるのです。
最後のかせの状態から紙管に巻く工程があるのですが、この工程がめちゃくちゃ難しく特に糸が細くなればなる程難易度が上がっていきます。僕自身体験したことないのですが、素人がやったら全く巻けないみたいです。この工程をしないと機屋さんでは織ることができないので、かせ染めの場合は必ず必要な工程です。(素材関係なしにです)
かせ染めはP.P染めに比べて手間が凄くかかります。麻の素材は特にかせ染めの方が、間違いなく良い生地に仕上がると思います。染めでも色をつけるだけではなく、糸の風合いをあまり落とさずに仕上げることも良い生地を作る上で非常に重要になっていきます。素材を見極めて染め方を変えていく、本当に先人達の経験の賜物です。生地は織ることが凄くピックアップされがちですが、紡績・撚糸・染色・整理の全ての工程が繋がってこそ良い生地ができるのだとこの仕事に携わるようになってからしみじみ感じます。