50. 一宮で製作したウール100%のシャツ生地
2022年01月03日
明けましておめでとうございます。昨年は沢山の方々の支えや、助けがあり充実した一年を過ごすことができました。本当に感謝の一年になりました。また今年もより良い洋服が仕立てられるように、探究心を持って、日々精進していきたいと思います。
今回は前回続きでもある糸についてお話させて頂きます。前回は主にコート地に使われる紡毛の糸を紹介させて頂きました。今回はスーツや、シャツ、パンツ、ジャケット様々な服に使われる梳毛の糸を紹介させて頂きます。
写真の生地は梳毛素材で出来た生地になります。梳毛は紡毛に比べて細く、長く揃えられた原毛を使用しております。その原毛を何回も引き伸ばしていき糸を作っていきます。なので紡毛の糸に比べて、洗うと縮みやすいです。この縮む特性を活かして作られた生地が写真の生地になります。
この生地は織整理工程で約30cm以上幅を縮めています。整理工程で縮めることにより生地が膨らみを持つので、軽い割には暖かい生地になります。この工程を見込んで、織る企画は甘くして洗うときにより生地が縮むように企画されています。(企画をキツくすると整理工程で風合いが出にくくなります)
写真で見ると実際使用している糸は細く感じますが、生地を強烈に縮めることにより、糸からは想像できない厚みを持った生地となります。
ウールは天然素材の中で風合いを出す加工が一番豊富だと思います。全く一緒の生地でも、整理加工を変えることによって全然違う生地になります。ウールが持っている潜在能力は素晴らしいものがあります。活かすも殺すも、生地の企画するもの次第になります。そして服にする時もこの特性を考えて、仕立てることにより、見栄え、機能性を兼ね備えた服になるのだと思います。
素材から考えて洋服を仕立てる。これが今凄く話題になっているサスティナブルに繋がるのではないかと考えております。