46. 尾州で学んだこと〜生地設計書編〜
2021年12月20日
今回は設計書の説明の最後の回となります。最初に組織について説明させて頂きます。下の写真の設計書の方眼に書かれているのが組織図になります。綾織は通常右上がりが多いですが、今回は左上がりとなっております。
通常綾織は2/2の綾が多いのですが、今回の生地は3/3の綾となっております。この組織図からわかることは同じ糸本数を使っても組織が違うことで、生地が柔らかく仕上がります。密度と組織は密接につながっているので、重要な箇所になります。例えば密度を変えずに組織で生地を柔らかく、ハリ感を落とした生地に仕上げることも可能ということです。見え方も、2/2,3/3,4/4と糸の浮が多くなる程ツヤも乗りやすくなります。サテンの生地は糸が浮いているのが多いので、ツヤがありキレイに見えるという訳です。組織を理解することで、ツヤがある理由がわかったり、逆にサテン生地は傷が出やすかったりとデメリットも把握することができます。この生地を作る仕事について生地は知れば知るほど深い世界だと日々痛感します。
次に糸量の話ですが、これが生地の目付けにも大きく関わってきます。今回は計算方式は省きますが、この設計書からも目付けがどのくらいになるか把握ができます。およそ目付けは300g/mに上がるかと思います。新たに生地を規格する時目付けは必ず把握してないといけません。どのような季節の服でアイテムは何にするかを考えると目付けは必ず規格する上で目安になっていきます。生地の重さは着心地にも関わってくるのでこの目安は非常に大事になってきます。
ここ何回にわたって生地のことを説明させて頂きましたが、あまりピンとこないことが多いと思いますが、生地も凄く考えられて作られているということがわかって頂けますと嬉しいです。ぜひ生地からこだわって仕立てるオーダーメイドの服を体感して下さい!!