37. 尾州産のシャツ生地紹介
2021年11月18日
今回はAWのシャツ生地を紹介させて頂きます。この生地の最大の特徴は染色をしていません。糸はタテ糸にコットン、ヨコ糸にウールを使用しています。染色していないので、綿のカスや、羊の皮のカスが所々に見られます。今回は特ウールに注目して頂きたいのですが、原料は16.5マイクロンの原毛を使用しており、紡毛の中では非常に良い原料の糸を使用しております。通常ですと羊の皮は洗ったり、晒すことで排除されますが、この糸は原料の良さを生かすため洗ったり、晒すことを最小限にすることで風合いを最大限に生かしています。なので羊の皮のカスが所々見られます。風合いをとるか見た目のキレイさをとるかで、風合いをとったような形になります。
またこの原料を生かすために、組織は3/1の綾にしてウラ側だけ起毛をしてあります。
写真の生地の左側がタテ糸のコットンが多く表面に出ている側で、右側がヨコ糸のウールが多く表面に出ている側になります。右側のウールの表面を起毛しているので、頬に当てたくなるくらい気持ちいいです!
表側もコットンの優しい肌触りなので負けていませんが、コットン側がツルッとした肌触りで、ウール側はふっくらとした肌触りになります。表裏で全く違う表情をした生地になるのでどっちを表にして服を仕立てるのか、論争が起こることが予想されます。
キレイめに着用したい方はコットン側を表に、少しカジュアルめに着用したい方はウール側を表に仕立てるのがオススメです。私個人をしては、ウール側を表に仕立てるのを押します!内側がコットンになるので、服の滑りも良いのも押す一つの理由になります。
尾州で織って、整理も尾州でしたオリジナルの生地になります。出来上がった見た目はどこにでもありそうな服に感じますが、糸使い、整理、組織とたくさんの工夫が施されています。見た目は普通だけど、どうしてこの生地を作ったのかということを知ることで、愛着を持てて長く愛される服作りが出来ればと考えております。