21. 尾州産オリジナル生地紹介
2021年09月23日
今回は冬のコート地を紹介したいと思います。尾州で糸から企画し、織り上げたオリジナルの生地になります。
写真で見たら二つ生地があるように見えますが、一つの生地で構成されています。裏と表で全く表情も違い、素材も違います。二重織と呼ばれる織物で、二枚の生地が重なっているイメージです。極端なこと言うと、ツイードの生地と綿のギャバジン生地が一つの生地になっているイメージです。僕も最初企画を初めた時は、二重織の構造がなかなか理解できず苦労しました。
今回の生地は表はシェットランドウールを使用したツイード生地になります。シェットランドウールは気温が厳しい環境で育てられているため、羊毛の保温効果が高く、服にした時軽いけど暖かいと言う優れものです。英国羊毛にしてはそこまで固くなく、そこまで肌触りは気にならないかと思います。
裏側は綿素材になります。この生地で一番の特徴は、裏側がキルト調になっていることだと思います。織物で膨らみを出せるのかと初めて見た時は衝撃を覚えました。この理由は生地を洗い込む工程で、綿とウールの縮みの差を利用したものになります。ウールは綿よりも洗うと縮むので、ウール側は平面ですが、綿側はウールの縮みに追いつけず、膨らんでしまいます。これがキルト調になる大きな要因です。
この生地は綿の膨らみのため、生地の間に空気が入りやすくコートやジャケットにした時軽くて暖かいと感じると思います。それに加えてシェットランドウールを使っているので、特に見た目のわりに軽さを感じるのが特徴です。
生地の企画では素材のこと理解し、めちゃくちゃ工夫されて作られています。今回は特徴的な生地でしたが、一見普通の生地でもどういう服にしたいか考えて作られています。そこを汲んでその生地の素材を生かせるように、洋服作りをしたいと考えております。