13. 尾州産生地が織れるまで〜綜絖差し編〜
2021年08月27日
今回は前回の整経が終わった後の工程をお話しさせて頂きます。
まずは綜絖差しと呼ばれる工程です。
写真の銀色の細い棒みたいのが綜絖と呼ばれるもので、真ん中に5ミリ程の穴が空いており、そこに1本1本糸を通していきます。この作業が大変で4千本近い糸を通すことはザラにあり、多い時は8千本の糸を通すこともあります。尾州ではほどんどの所は手作業でやっています。
なぜ手作業なのか、尾州では様々な生地を織っており、小ロットでの対応もしています。そのため毎回同じような生地を織ることは少なく、色々な生地に対応するには手作業の方が柔軟に対応できるのです。
この綜絖差しがどのような役割をしているかと言いますと、織りの組織を決めるのに重要な役割をしています。生地組織の種類は膨大の数があります。その組織に対応するためにこの綜絖が重要な役割の1つになります。
次にセットで進めるのがオサ入れになります。オサの役割はタテ糸の密度を決めてくれるのと、ヨコ糸を打ち込んでくれます。この工程も何千本もの糸を入れて行かなければいけません。
この2つの作業は自分も経験したことがありますが、地味で時間がかかるキツい作業でした。ですが尾州の長年やっている方々はすごいスピードでこの工程をやってのけます。こんなスピード一生かけても無理だというくらい早いです。改めて一枚の生地ができるのにこんなに苦労するのかと感じた工程でもあります。