120. 尾州(一宮)の生地でコートを作成
2022年09月05日
9月になり若干涼しくなって来ました。
秋冬の新作生地も揃い始めて、その生地を見る時間が一番楽しい時でもあります。
良い生地を見つけた時は凄くテンションが上がります。
生地でその服の印象が決まると言っても過言ではないくらい、重要です。
今回は私自身のコートを作成しようと考えている生地を紹介させて頂きます。
尾州で製作したオリジナルの生地になります。
表面にシェットランドウールを使用して、裏面にコットンを使った二重織りの生地になります。
この生地の最大の特徴は、裏面がキルティング調になっていることです。
通常のキルティングのように中綿は入っていません。
ウールとコットンの天然素材のみによって、表現しています。
なぜ膨らみが出るかというと、ウールとコットンの縮みの量が違うからです。
ウールはコットンに比べると、縮みが大きいです。ですので下の写真の機械で、生地を洗い込みます。
この機械によってウールを縮ませます。もちろんコットンも同じように縮みますが、縮む長さが短いです。
例えば、同じ1mのウールとコットンの糸があるとします。
洗うことによって、ウールが30cmに縮み、コットンが80cmに縮んだとします。
この50cmの差が膨らみを生み出します。
この膨らみは保温効果もあります。
膨らみがある生地は空気を含み易いため、軽い割には温かくなります。
加えて裏面がコットンなので、裏地を使う必要がないため、コートをより軽量化するができます。
さらに良い所は、パンツとしても使える所です。
英国羊毛は通常のウールに比べて、硬いためパンツとして履くとチクチクして履けません。
しかし裏面がコットンなので、そこの問題が解消されます。
本当に生地の力には驚かされます。
ここまでは良いこと尽くめですが、デメリットもあります。
毛玉ができ易いですということです。
このような生地が多く出回らない理由はそこにあります。
百貨店などに入っているブランドは、使いづらい生地です。
しかし天然素材はそんなにいやらしい毛玉になりません。
化学繊維と違って、毛玉は擦り落ちていくし、残っても玉みたいにはなりにくいです。
これを欠点と見るか、風合いと見るかは、個人の考え方次第です。
どんな物にも欠点は必ずあるといことです。笑
またパンツとコートが出来上がりましたら、ブログで紹介させて頂きます。
この出来上がるまでの時間がオーダーの楽しみでもあります!!
https://www.tokyo929.or.jp/column/ware/post_23.php
毛玉について書かれている記事になります。