120. 尾州(一宮)の生地でコートを作成
2022年09月05日
![](https://n-tailor-design.com/wp-content/uploads/2022/08/img-nijuuori-scaled.jpg)
9月になり若干涼しくなって来ました。
秋冬の新作生地も揃い始めて、その生地を見る時間が一番楽しい時でもあります。
良い生地を見つけた時は凄くテンションが上がります。
生地でその服の印象が決まると言っても過言ではないくらい、重要です。
今回は私自身のコートを作成しようと考えている生地を紹介させて頂きます。
![](https://n-tailor-design.com/wp-content/uploads/2022/08/img-nijuuori-3-1024x1024.jpg)
尾州で製作したオリジナルの生地になります。
表面にシェットランドウールを使用して、裏面にコットンを使った二重織りの生地になります。
この生地の最大の特徴は、裏面がキルティング調になっていることです。
通常のキルティングのように中綿は入っていません。
ウールとコットンの天然素材のみによって、表現しています。
なぜ膨らみが出るかというと、ウールとコットンの縮みの量が違うからです。
ウールはコットンに比べると、縮みが大きいです。ですので下の写真の機械で、生地を洗い込みます。
![](https://n-tailor-design.com/wp-content/uploads/2021/08/IMG_20210806_214942-1024x1024.jpg)
この機械によってウールを縮ませます。もちろんコットンも同じように縮みますが、縮む長さが短いです。
例えば、同じ1mのウールとコットンの糸があるとします。
洗うことによって、ウールが30cmに縮み、コットンが80cmに縮んだとします。
この50cmの差が膨らみを生み出します。
この膨らみは保温効果もあります。
膨らみがある生地は空気を含み易いため、軽い割には温かくなります。
加えて裏面がコットンなので、裏地を使う必要がないため、コートをより軽量化するができます。
さらに良い所は、パンツとしても使える所です。
英国羊毛は通常のウールに比べて、硬いためパンツとして履くとチクチクして履けません。
しかし裏面がコットンなので、そこの問題が解消されます。
本当に生地の力には驚かされます。
ここまでは良いこと尽くめですが、デメリットもあります。
毛玉ができ易いですということです。
このような生地が多く出回らない理由はそこにあります。
百貨店などに入っているブランドは、使いづらい生地です。
しかし天然素材はそんなにいやらしい毛玉になりません。
化学繊維と違って、毛玉は擦り落ちていくし、残っても玉みたいにはなりにくいです。
これを欠点と見るか、風合いと見るかは、個人の考え方次第です。
どんな物にも欠点は必ずあるといことです。笑
またパンツとコートが出来上がりましたら、ブログで紹介させて頂きます。
この出来上がるまでの時間がオーダーの楽しみでもあります!!
![](https://n-tailor-design.com/wp-content/uploads/2022/08/img-nijuuori-2-1024x1024.jpg)
https://www.tokyo929.or.jp/column/ware/post_23.php
毛玉について書かれている記事になります。