109. 尾州(一宮)で生地ができるまで〜第6話〜
2022年07月29日
今回は補修についてお話しさせて頂きます。
織り終わった後に必ず、生地の補修工程が入ります。
天然素材の生地は糸切れ・糸抜けなどちょっとした傷が必ずといってあります。
なので、生地が仕上がるとキレイに補修できないので、整理をする前に必ず補修をしていきます。
左の画像は経糸が切れており、右の画像は緯糸の糸の緩みになります。
こういったことは織りあがった生地にはほぼ間違いなくあるので、糸を織り込んだり、抜いたりと凄く細かい作業にはなりますが、一本一本の糸を丁寧に修復していきます。
そしてこの補修を整理の前にすることにより、キレイな生地に仕上がります。
写真の生地は整理で起毛をしているので、傷は比較的分かりにくくなります。
しかしスーツ生地の加工が一番キズが分かりやすく出るので、一番補修がシビアになります。
織り終わった後・整理途中・整理終わりの3回も補修を通すこともあります。
この補修の工程は生地の仕事をするまでは全く知らない工程でした。
生地は傷なく織れるものだとなんとなく思っていました。
合繊繊維は傷なく織れることがあるかもしれませんが、天然繊維は傷なく織れることはありません。
気温や湿度で糸の切れやすさは変わってきますし、糸の原料や糸の色によっても織りやすさは変わっていきます。
本当に糸は凄く繊細だなと、この仕事を通して感じます。
この補修はあまり目立たない黒子的ではありますが、絶対に必要不可欠な工程になります。
こういった工程を通して生地ができていると知って頂けたら嬉しく思います!!
次回は尾州で生地ができるまでシリーズの最後の整理工程になります!