106. 尾州で生地ができるまで〜第3話〜
2022年07月18日
今回から生地を織ることについてお話しさせて頂きます。
私自身少しの期間でしたが、一宮の織りの工場に勤めていたこともあるので、少し詳しくお話しできるかと思います。
まずは生地を織る前に、整経と呼ばれる経糸を準備する工程があります。
生地を織機にかけて織る前に必ず必要な工程になります。
整経をする前に枠立てと呼ばれる柄の配列を決める工程があります。
上の写真の左側は何色かの糸が並んでいるのがわかります。右の写真は全て黒色の糸が並んでいるのがわかるかと思います。
左の写真はストライプ又はチェック生地で、右側は無地又はボーダーの生地を作ることができます。
整経をやっていた時には、配列を一本でも間違えてしまうと大変なことになってしまうので、何回も確認していました。無地はその点配列で間違えることがないので気が楽でした。笑
この枠立てされた糸を整経機に巻いていきます。枠立ての本数は各工場にもよりますが、一番多く立てれても600本くらいしか立てることができません。生地によって使う経糸の総本数は全然違いますが、だいたい平均するとひとつの生地に3000本程度の経糸を使います。
一気に3000本の経糸を作ることができないので、部分整経と呼ばれる方法が使われています。
例えば300本枠立てした場合、10回繰り返すことで、トータルで3000本になります。
上の写真を見ると整経機に巻かれている糸の上にいくつか束になっている糸があります。これは300本の糸が束になっています。これを10回続けていくことで整経が完了します。
最後に巻き取りと呼ばれる工程があります。
整経機に巻いたままでは織機に乗せることができないので、ビームと呼ばれるものに経糸を巻き取っていきます。
ここで整経の工程が全て完了になります。
整経で一番苦労したのが、糸のテンションです。素材によって伸縮性が違うので、そこをしっかり理解した上でテンションを決めないと、ミスしてしまうと織るスピードが落ちてしまうので、整経のテンションは非常に重要なポイントです。
特にリネンは最初の頃は凄く難しかった記憶があります。伸縮性がないので、糸を張りすぎても負担がかかって切れてしまうし、逆にテンションを緩くしたら、糸が食い込んでしまって全く織れない危険性があります。
この加減が凄く難しい。。。
生地を織るとなると織機をイメージするかと思います。整経はあまり知られていません。しかし織機で織ると同じくらい大事な工程なので、知って頂けたら嬉しいです!
次回は織機で織る工程についてお話しさせて頂きます。