105. 尾州で生地ができるまで 〜第2話〜
2022年07月15日
今回は染色についてお話しさせて頂きます。
染色の方法はいくつかあります。
・まだ糸になる前のワタの状態で染めた後に糸にするトップ染め → 生地になる前に染める
・糸になった状態から染める糸染め → 生地になる前に染める
・生地になってから染める後染め(反染め)→ 生地になった後に染める
・製品になってから染める製品染め → 生地になった後に染める
弊社の9割以上は上記二つのトップ染め、糸染めになります。トップ・糸染めは生地になる前の染色方法ですのでタテ糸、ヨコ糸で色を変える事が可能で無地でも深みがある生地に仕上がります。
次に染色の種類についてお話しさせて頂きます。
オリジナル生地の糸染めはかせ染めとP.P染めの2種類あります。この2種類について簡単にお話しさせて頂きます。
・かせ染め…束の状態で染め上げるため、染めムラが少なく、糸にかかるストレスが少ないため、より本来の糸の状態で染める事ができる。弊社オリジナル生地のリネン、紡毛素材はかせ染めをしております。
かせ染めの束のままですと、次の織り工程に進むことができません。かせの束から紙管と呼ばれる棒に巻かないといけません。この工程が凄く大変で、熟練の技術がないといけません。この一工程多いことがかせ染めが少ない理由でもあります。
・P.P染め…かせ染めに比べて、大量に染める事が出来る。スーツ生地のウールはほとんどがP.P染めになります。
P.P染めはかせ染めのように染めたあと一工程がなく、このまま乾燥して織り工程に移行できます。尾州では一番ポピュラーな糸染めになるかと思います。
素材によって染料も変わっていきます。タンパク質が主成分のウール、シルク、セルロースが主成分のコットン、リネンで変わります。
この成分の違いを利用してタンパク質系とセルロース系の混紡糸を使って片方の素材だけを染める方法もあります。
次回は織りの整経についてお話しさせて頂きます。次からは糸から徐々に生地になっていく工程です。ここは現場で経験があるので、少し詳しくお話しできるかと思います!!
染色について凄く参考になるので、是非聞いて見て下さい。この話を聞いて尾州の生地は色々な分野にも使われているんだと凄く勉強になりました。