55. 尾州で製作した生地(マス見本)
2022年01月21日
今回は中々お目にかかれないマス見本を紹介させて頂きます。凄く大きなブロックチェックのような生地になっております。写真の生地はタテ糸が16色、ヨコ糸が16色となっております。基本的にタテ糸とヨコ糸の16色は同じ色を使っていきます。
その中でタテ糸とヨコ糸が同じ色になる箇所が必ずあります。写真ですと薄いグレーのラインの下から4番目の箇所がアタリと呼ばれる箇所になります。そこから斜め上に上がっていくごとにアタリになります。
このマス見本の最大の特徴はアタリではなく、タテ糸とヨコ糸の色が違った糸が合わさった所を見えることです。タテ糸とヨコ糸の色が違うことをシャンブレーと言いますが、このシャンブレーは中々イメージすることが難しくこのマス見本でないと見抜くことは難しいと思います。これを可能にするのがマス見本になります。
インポートの生地見本帳でも必ずシャンブレーの生地が入っています。これはこのマス見本を作って色を抜いていって、それを量産の生地にしていっていると思います。このマス見本があるおかげでシャンブレーの深みがある生地が出来上がるのです。
最近では糸ではなく出来上がった生地を染めたり、製品を染める後染めが多くなってきています。糸の状態で染めないとこのシャンブレーはできません。このマス見本自体凄くコストがかかるので、昔に比べてマス見本を作る量は減ってきています。コストも抑えることができる後染めが増えてくる理由もわかります。でもやっぱりシャンブレーは洋服に仕上がった時に色の深みが個人的にはたまらなくカッコ良くなります。バンチブックを見てもわかりづらいと思いますが、服になると全然違います。ぜひひと手間いや10手間くらいかかっているシャンブレーの生地でスーツを一度仕立ててみるのはいかがでしょうか??