45 尾州で学んだこと〜生地設計書編〜
2021年12月16日
今日は凄く大切な密度についてお話していきたいと思います。織物はタテ糸とヨコ糸が交差することで出来ています。このタテ糸とヨコ糸の密度が服の仕立てに凄く影響が出ます。
上記の写真で見ると、経糸密度が22羽2本=44本(1インチの中に44本糸が入ると言うこと)隣の72吋(インチと呼びます)は生地の幅です。1インチが2.54cmなので72インチは約182cmになるということです。仕上がりは大体140cm~150cmになるので、約20%くらい縮みます。
まず密度は糸の番手(太さ)に大きく関わります。糸の本数が多いからといって高密度の生地という訳ではありません。今回の場合番手は24番なので、通常のスーツ地でしたら経糸の密度は64本くらいに設定されますが、実際は44本になのでこの規格はかなり甘いということになります。生地は高密度がいい生地で規格が甘い生地はダメな生地ということではありません。高密度の生地はハリがありシルエットが綺麗に出やすく、甘い生地はオチ感があり、丸く優しい雰囲気になります。一番やってはいけないのが、生地の特徴を理解せずに服を作ってしまうのが生地をダメにしてしまう一番の原因だと思います。
この密度でスーツの出来上がりに凄く影響します。色や柄だけでスーツの生地を決めるのは本当にもったいないことです。柔らかい生地でしたら、サイズ感を緩くしてドレープを楽しんだり、高密度の生地でも少しゆとりがあるサイズ感でも凄く仕立て映えがします。
オーダースーツの世界ですと縫製の技術が凄くピックアップされますが、良い生地を作る技術も同様に凄く難しいことです。縫製がしやすい生地は仕立て映えするし、逆に縫いにくい生地は仕立て映えがしません。両方が一致してこそ良いスーツができると思います。その良い生地を作るためにも今回の密度は凄く重要なポイントです。これから生地を選ぶ際には密度(ハリ感)を意識して選ばれると良いスーツを仕立てる第一歩になるかと思います。