44 尾州で学んだこと〜生地設計書編〜
2021年12月13日
今回は前回に引き続き生地の企画についてお話ししたいと思います。生地の設計書と言われてもあまりイメージしづらいかと思いますが、この生地はこうやって作ってくださいと言う羅針盤みたいなものです。
普通は設計書は世に出ないものですが、今回は私自身がある生地をほついて分解して、そこから自分だったらこのような設計書にすると考えた設計書なので、架空の設計書になります。
まず一番上の整経長67mは生地のタテの長さです。生地はだいたい反物になっていて、一反の長さは50mまたは30mになります。一反の生地から服が何着もできます。この設計書に書かれている整経長は67mと長いですがこれには理由があります。
整経長とは織られる前の長さで、糸は直線になります。ヨコ糸が入ることで、糸が屈曲していくので糸自体は短くならないのですが、生地で仕上がると60mよりも短くなると思います。
もう一つ生地が短くなる工程が、整理工程です。すっぴんの生地から綺麗にするため化粧をするみたいな工程です。前の織る工程では糸自体は縮んでいないとお話しましたが、整理工程では糸自体が縮むので生地の長さが短くなります。加工、素材によって縮み具合は大きく変わってきますが、今回は素材がウールで凄く洗いこむ加工をするので大幅に縮むことを想定しています。
この2点が大きく短くなる原因で、整経長の長さの予測は経験が凄く大切になってきます。この整経長だけでも生地を作るのに素材の特徴を掴むことが非常に重要になってきます。この生地の設計を学んだことで素材の知識が格段と高まり服づくりに凄く生かされていることは間違いありません。
次回は凄くシビアなところでもある密度の設定についてお話したいと思います!