145. 織物の生地を規格する仕事とは
2023年01月09日
今回は生地を規格することについてお話しさせて頂きます。
生地を規格することやデザインするといっても中々イメージが湧かないかと思います。
服を買う時、いい生地だなと思って服を買うことはないかと思います。
やっぱり服のデザインが大きな決め手になると思います。
しかし服を企画する人たちは必ず生地を買わないと、服を作ることができません。
デザインからこうゆう生地が欲しいという場合もあるし、生地を気に入ってデザインが決まっていく場合もあります。
その要望に応えるべく、尾州で生地を企画する方々がいます。
カッコ良くいうとテキスタイルデザイナーです。
例えばいつも履いているデニムと同じ生地が欲しいとなります。
生地だけ見ると簡単にできそうな気がしますが、この仕事に携わっていないとどの様に糸から生地ができるかイメージがつきにくいかと思います。
ある生地を買って服を作るのはまだ楽なのですが、糸から生地を作るとなると、難易度が一気に上がります。
そこで生地を企画する仕事が必要となってきます。
先程のデニムの生地を企画するとします。
・まずはどのような素材の糸が使われているのか。
・糸の番手はどのくらいか(太さ)
・生地の密度はどのくらいか
・染色はどうするのか
・組織はどうするか
・整理はどの様な加工にするのか
・糸の量はどのくらい必要か
・生地はどのくらい縮むのか
等々を考えなくてはいけません。
本当に決めることが沢山あるのです。
デニムなので、素材はコットンですが、
経糸は単糸にするのか、双糸にするのか。
デニムは基本単糸が多いですが、単糸のままだと織ることができません。
ノリつけと呼ばれる工程を通すことで、織ることが可能となります。
生デニムとはこのノリ付けを抜かずにそのまま製品にしたものになります。
糸の密度によって、生地の雰囲気は凄く変わってきます。
最近では高密度の生地は減ってきています。
高密度にすると、多くの糸を使うことになってしまい、生地の値段が上がります。
そして密度が甘ければ甘いほど、柔らかく肌触りの良い生地に仕上がります。
この密度に関しては、少ないから良い多いから悪いのではなく、どの様な服を作りたいかによって変わってきます。
例えば今回のデニム生地はオーバーサイズで作りたいので、ハリがあってシルエットをしっかり出したいのであれば高密度で、ゆるーくドレープがある感じにしたいのであれば、少し甘めの生地が良いということになります。
染色方法もインディゴ染めにするのか、逆に色が落ちにくい反応染めにするのかによって洗濯の仕方も変わってきます。
反応染めにすれば、家庭用の洗濯機で洗えるので、凄く楽になります。
組織はデニムなので3/1と呼ばれる綾織になります。
最後に整理ですが、軽く洗うのか、徹底的に洗いこむのか、それとも樹脂を使ってめちゃくちゃ硬くするのかなど整理の選択肢は凄く多いです。
この整理で生地の表情が決まるので生地を企画するものにとって大変気を使う箇所でもあります。
この整理を理解することは非常に重要になってきます。
今回はデニム生地をピックアップしましたが、ここから応用することもできます。
緯糸にウールを使ってみたり、
紡毛を使って且つ組織を変えて、整理で起毛してみたり、
など無限大に工夫していくことができます。
これが企画の醍醐味でもあります。
企画を知ることで、オリジナル生地を作ることが可能になります。
N tailor designでは私自身が生地を企画し、オリジナル生地を作成しております。
オリジナル生地の特性は世界の誰よりも知っています。
素材を生かした物作りをすることで、洋服によって快適な生活を提供できればと考えています。
下は過去のブログで、オリジナル生地のご紹介をしたものになります。
是非ご覧下さいませ!!