104. 尾州で生地ができるまで
2022年07月11日
今回からどのような流れで生地が作られていくのかお話ししていきたいと思います。
まず最初に間違いなくやらないといけないのが、生地の設計書の作成です。
ここが各工程の指示書になるので、ここで間違えてしまうと、イメージ通りの生地に仕上げることはできません。
家を作るにも設計書があると同じように、生地を作るにも設計書があります。あまりイメージ湧かないかもしれませが、生地の厚み、硬さ、重さ、柄、風合い、色等をここで決めていきます。
なので生地を設計する前にどのような服にしたいかをイメージすることは非常に重要になってきます。これは設計を始めて一番大事なことだと感じます。
この設計書にどのよなことが書かれているのか順に説明させて頂きます。
・組織・・・組織によって密度も決めていきます。平織か綾織が多いですが、細かく分類すると、凄い種類があります。
・生地の密度・・・この密度は糸の太さによってある程度決められていますが、どのような服にしたいかでも密度は変わっていきます。なので正解はないのですが、この密度で、生地のハリ感が変わってくるので、服にした時の仕立て映えに凄く関わってきます。個人的には密度が詰まった、生地の服は高級感が出て好きです。
・整経長・・・生地の長さを決めます。だいたい一反は50mまたは30mになります。生地の重さや仕上げ方法によって長さは変わってきます。生地は織ったり、整理することで縮んでいくので、その縮みを計算して整経長を決めないといけないので、ピッタリ50mや30mに仕上げるのは至難の技です。
・配列・・・無地の生地でしたら配列は一色だけなので、必要ありませんが、チェックやストライプですと必要となってきます。このチェックやストライプの配色や幅もここで決められています。色や幅で柄の印象は全く変わっていきます。なので、絵に書いたり、シュミレーションをしてイメージを作った上で設計をしていきます。
・糸の量の計算・・・一反にどのくらいの糸の量が必要か計算していきます。無地でしたら一色、柄でしたら複数の色糸が必要です。この糸量の計算を間違えてしまうと、多大なるご迷惑と無駄な仕事が増えてしまいます。
・仕上げ加工(整理)・・・最後に凄く重要な仕上げ工程を決めていきます。試作でしたら、同じ生地で4パターンくらい作ることもあります。ここは凄く経験も必要だと感じる工程だと感じます。
以上のように生地の設計書には全て情報が入っています。なので凄く重要なものになります。この設計書を紛失したら、生地の会社は大変なことになってしまいます。生地を作る上で本当に大切な書類になります。
次回は染色工程についてお話ししたいと思います!!