71. 一宮で製作中のオリジナル生地織り上がりました。
2022年03月18日
今回も前回に引き続き現在製作中のオリジナル生地についてお話しさせて頂きます。前回は織りの工程をお話しさせて頂きました。
https://n-tailor-design.com/?post_type=news&p=1052
生地は必ず織りあがった後に、傷や汚れがないか検反していきます。私自身、商品のイメージで生地はキレイであたり前だと思っていました。ですがこの業界に入って、織っている時は糸が切れるし、糸が緩みます。天然素材は合繊繊維に比べると、糸の強度が弱いので、全く問題なく一反が織り上がることは殆どありません。
左側の写真のように、タテ糸が切れることは多々あります。織る時にタテ糸にはかなりの張力がかかっているので、タテ糸は凄く切れ易いのです。ウールはまだ伸縮性があるので良いのですが、麻は伸縮性がなくより切れ易いので織るには厄介な素材でもあります。
検反することでこれらの症状を切ったり、引っ張ったり、手作業で織り込んでいったりします。これを補修作業と言いますが、本当に職人技とはこのことかというくらい凄い技術です。タテ糸が切れることや、ヨコ糸が緩むことは大した事ではなくて、糸が一本何十メーターも抜けてたりすることもあります。その抜けている一本の糸を手作業で織りこんで行きます。見た目が全くわからないくらい綺麗な生地に仕上がります。
今回は大きな傷はありませんでしたが、一番シビアなスーツ生地になると、整理の途中や仕上がりにも補修をしています。それぐらいスーツ生地は沢山の目を通して傷や汚れがないかをチェックしていきます。
この補修の工程が終わると整理の工程に入ります。今回は両面を起毛するので、通常の整理よりも時間がかかってしまいますが、今の写真とは見た目、肌触り、すべてにおいて全く違う生地になります。中々お目にかかれない織り上がりの生地も、仕上がりの生地と一緒にサンプル帳にするので、気になるという方はお気軽にお声掛けくださいませ。こんなに違うのかと驚かれるかと思います!!
また後日仕上がりました生地を報告させて頂きます。