165. 超高密度の生地で試作
2023年03月27日
今回は尾州で織った超高密度の生地をご紹介させて頂きます。
ここまでの高密度の生地は人生の中でも見たことがないくらいです。
生地ではなく厚い画用紙みたいな感覚です。
このバキバキのハリ感は、整理加工で樹脂を使って出すことができます。
しかし今回ご紹介する生地は、ノー樹脂です。
密度だけでこのバキバキのハリ感が出てます。
これこそ産地でしか出せない、産地で働いていて良かったと思う点です。
中々このような生地は世に出回ることはありません。
糸を沢山使うため、生地値も高くなり
糸を沢山使うため、織るにもめちゃくちゃ時間がかかります。
なので生地値が通常の生地に比べて高くなります。
なのである程度の価格で売れるアパレルしかこの様な高密度の生地は使用することが難しいです。
それぐらい貴重な生地なのです。
高密度の生地はあまりドレープせずストンと落ちていくのが特徴です。
パンツやコートに使われることが多く、
今回はパンツを試作していきます。
サイズ感はゆったりとして、太い筒を履いている様なイメージのパンツです。
高密度の生地で仕立てた服はめちゃくちゃ高級感が出ます。
良い原料を使うことも非常に重要ですが、
そこまで原料は良くなくても高密度の生地にすることによって、
原料が良い生地を凌ぐこともあると個人的には思います。
原料の良し悪しだけで、良い生地だと決めるのは凄く危険なことです。
密度も生地の良し悪しを決める重要なポイントになります。
中々インポートの生地では密度まで把握するのはすごく大変です。
国産の生地やオリジナル生地は密度を把握することができるので、ご提案がしやすくなることが良いところでもあります。
生地を企画する仕事をやって本当によかったと感じております。
生地によって同じサイズ感でも全く違う服になってしまいます。
生地の特徴を考えて、服を仕立てる重要性がとても大事だと痛感させられました。
今後も色々な生地で試作し、見た目、機能面でも充実した服作りができればと考えております。